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自社製品のデザインに似た商品が販売されていた場合

意匠権は、特許権や商標権と非常に類似した範囲となっているため、その区別が難しくなっています。

そこで意匠権の対象となるものには以下のようなものが該当するとされています。


・物品の形状等
・建築物の形状等
・機器の操作の用に供される画像
・機器がその機能を発揮した結果として表示される画像

 

の4つです。また上記に加えて「視覚を通じて美感を起こさせるもの」も要件となっており、美感とは登録要件にもなっている形状や画像等が客観的に新規であることや創作が容易でないことが判断の対象となります。意匠権が取得されている製品の例としては服、日用品、家具、ねじなどの部品、スマートフォンやパソコンなどの電化製品、容器類などがあります。

 

上記で登録という単語が出てきたように、意匠権は登録をしなければその保護の対象にはなりません。意匠登録のためには前述した「意匠」の定義を充足するだけでなく「工業上利用することができる」ものでなければならず、要するに量産することが可能であるということを指します。
もっとも、①公序良俗を害するおそれのある意匠(5条1号)、②他人の業務にかかる物品、建築物又は画像と混同を生ずるおそれがある意匠(同条2号)、③物品の機能を確保するために不可欠な形状若しくは建築物の用途にとって不可欠な形状のみからなる意匠や画像の用途にとって不可欠な表示のみからなる意匠(同条3号)は登録をすることができません。

 

また意匠権の保護範囲は広範に及んでおり、デッドコピーだけでなく類似品にまで及びます。

デッドコピーとは「特殊な形状」のもので「販売されてから3年以内」のものを指します。

 

もし仮に意匠権の侵害があった場合には、差止請求、損害賠償請求をすることができます。差止請求が認められた場合には、実際に販売を行っている業者の在庫を廃棄し、生産の中止をさせることができます。また、損害賠償請求額に関しては、具体的には侵害のあった商品のシェアが奪われたことによる利益を裁判所が算出し、支払い命令がなされます。
また、意匠権は犯罪行為にも該当するため10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、その両方が科せられることがあります。

 

意匠権侵害の有名な事例としてはタニタとオムロンヘルスケアの体重計のデザインに関する訴訟があげられます。
一般的に体重計には、操作をするためにボタン、実際に計測した数値を表示するための液晶、そして体重を計測する際に使用する電極の3つがどの商品にも使用されています。この訴訟ではタニタの販売している体重計のこれら3つのデザインが、オムロンヘルスケアのそれと非常に類似性があるということから起こりました。

 

最終的に裁判所は①商品の縦横比の違い、②液晶表示窓の周りの縁取りの有無、③電極部分の形状やスイッチの個数を考慮要素として、意匠権侵害を肯定し、タニタに約1億3000万円の賠償金の支払いを命じました。

 

もっとも実際に商品に類似性があるか否かということを、一般人が判断することは非常に困難を極めているといえます。

したがって専門家である弁護士に相談することで解決を図ることが可能です。

 

千且法律事務所では、千代田区、港区、麹町、四ッ谷、市ヶ谷、文京区を中心に、関東全域の皆様から、特許・知的財産(著作権、商標、職務発明)、企業法務などに関するご相談を承っております。知的財産権という自然科学的知識が重要となる場面に対応できる理工学部出身の弁護士が、事案に対応させていただきます。ぜひご相談ください。

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弁護士 千且和也(せんだ かずや)

  • メッセージ

    法律事務所の扉は「重い」と感じていませんか。

    「こんなことを話していいのだろうか、もう少しはっきりしてから来た方がいいのでは」と感じているとしたら、そのような遠慮は要りません。

    弁護士と思わず、「裏切ることが決してない、唯一の味方」と頼っていただければ、幸いです。

    個人の方には、初回に限り30分の無料相談を行っていますので、お気軽にご相談下さい。

  • 経歴

    中央大学理工学部工業化学科卒業した年に弁理士登録し、TMI総合法律事務所に勤務。

    右田特許事務所に勤務した後、きさらぎ国際特許事務所(現きさらぎ国際特許業務法人)設立。

    桐蔭横浜大学法科大学院を卒業した年に司法試験に合格し、最高裁判所司法研修所を経て、弁護士・弁理士登録し、千且法律事務所設立・きさらぎ国際特許業務法人復帰。

  • 所属

    第二東京弁護士会、日本弁理士会、APAA(アジア弁理士会)、医療過誤弁護団(東京三会)

  • 著作

    『特許発明の技術的範囲の解釈』(パテント1996年6月号)

    『無効原因とならない 特許紛争明細書作成のポイント』(ビジネス法務2007年2月号)

    『平成18年特許法改正 シフト補正禁止後の特許申請対策』(ビジネス法務2007年9月号)

    『先使用権制度の円滑な活用に向けて-戦略的なノウハウ管理のために』(商事法務別冊『NBL』-No.111および単行本の作成メンバー)

事務所概要

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