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意匠権と商標権の違い

商標権、意匠権はいずれも産業財産権とされており、これらの権利を侵害した場合には、商標権者や意匠権者から、損害賠償請求や差止請求が行われたりします。

商標権や意匠権は似たような対象に成立するものであるところ、2つの違いはどこにあるのでしょうか。

意匠権とは?

意匠権とは、工業製品などのデザインを保護することで、意匠権者の努力に対する他社のフリーライドを禁止し、デザインが有する集客力を保護することを目的としています。

意匠権は永続的に持つことはできず登録日から25年間で消滅します。

 

意匠権が認められる要件は次の通りです。

①工業利用できる意匠である

工業性のない美術品のデザインは原則として著作物の対象であり、意匠権の対象は、量産可能なものであることが求められます。

②新規性がある

登録を受けようとする意匠は、その出願前に知られていない新規のものであることが必要です。公知であるものや、刊行物に掲載されたもの、これらに類似するものは新規性がないとして意匠権の対象となりません。

③意匠が簡単に創作できるものではない(非容易性がある)

創作が非容易といえるためには、すでに知られている形状や色彩の寄せ集めや構成比率の変更などの一工夫で簡単に創作されたものではないといえることが求められます。

④先に出願された意匠との同一性または類似性がない

意匠権は出願によって登録され、同じ意匠に対して複数の登録は認められません。

そのため先に出願されている意匠の一部と同一または類似していると登録ができないので、早く意匠権の出願をすることが求められます。

商標権とは?

商標権は、ブランドの信頼やイメージの対象となる商品・役務に使われている文字・図形・記号・立体形状など、人の知覚によって認識することができるものに成立します。

必ずしも文字や図形に限られず、例えばカーネルサンダース像などの立体商標も含まれます。

商標権の存続期間は登録から10年ですが、存続期間の更新が回数制限なくできるので申請を行えば半永久的に独占し続けることができます。

 

商標権成立の要件として以下が挙げられます。

①自己の業務について使用する商標である

商標権は出願者本人の業務にかかる商品やサービスに用いられるものであり、将来使用する蓋然性のあるものも含まれます。

使用できない蓋然性が高い場合や、使用する意思があるか合理的な疑義がある場合には、同要件を満たしません。

②識別力がある

商標権は消費者の立場から、誰が事業主体であるのか識別できる必要があります。

③先願した

商標権は先に登録した者が優先されるので、登録されるより先に出願する必要があります。

意匠権と商標権の違いは大きく2つある

意匠権と商標権の違いは大きく次の2つがあります。

保護される対象の違い

意匠権の対象は、工業製品や建築物などのデザインであるのに対して、商標権の対象は商品やサービスに付されている、事業者を識別する能力のある表示、目印となります。

保護される存続期間の違い

意匠権と商標権の大きな違いとして存続期間が挙げられます。

意匠権の存続期間は25年、商標権の存続期間は10年なので一見すると意匠権の方が保護される期間が長いと感じるかもしれません。

しかし実際は意匠権が存続期間を更新できないのに対して、商標権は10年ごとに存続期間を更新し続けることができるので半永久的に保持することのできる権利といえます。

知的財産紛争にお困りの方は千且法律事務所までご相談ください

今回は意匠権と商標権にはその対象や権利の存続期間に違いを解説しました。

もっとも、意匠権、商標権のどちらの対象になるのか判断するためには、極めて専門的な法律知識や先例についての知識を有することが求められます。

千且法律事務所では、意匠権や商標権など知的財産権に関する紛争に関するご相談を承っております。

親身になって対応いたしますのでお困りの方はお気軽に当事務所までご連絡ください。

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弁護士紹介

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弁護士 千且和也(せんだ かずや)

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    中央大学理工学部工業化学科卒業した年に弁理士登録し、TMI総合法律事務所に勤務。

    右田特許事務所に勤務した後、きさらぎ国際特許事務所(現きさらぎ国際特許業務法人)設立。

    桐蔭横浜大学法科大学院を卒業した年に司法試験に合格し、最高裁判所司法研修所を経て、弁護士・弁理士登録し、千且法律事務所設立・きさらぎ国際特許業務法人復帰。

  • 所属

    第二東京弁護士会、日本弁理士会、APAA(アジア弁理士会)、医療過誤弁護団(東京三会)

  • 著作

    『特許発明の技術的範囲の解釈』(パテント1996年6月号)

    『無効原因とならない 特許紛争明細書作成のポイント』(ビジネス法務2007年2月号)

    『平成18年特許法改正 シフト補正禁止後の特許申請対策』(ビジネス法務2007年9月号)

    『先使用権制度の円滑な活用に向けて-戦略的なノウハウ管理のために』(商事法務別冊『NBL』-No.111および単行本の作成メンバー)

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